比較級で使われる than と原級で使われる as の後ろは、he なのか him なのか ? 学問的なウンチクや使用頻度よりも大事なことは、試験では結局どっちで書くの ?ということです。
【 than の後ろについて 】
今日ではどちらも英語として正しい表現として広く認識されています。
たとえば、「彼女は彼より背が高い。」というとき、
① She is taller than he.
② She is taller than him.
上記①の than は接続詞で、後ろに he is・・・と続くため主格になります。それに対して②の than は前置詞なので、その後ろが目的格になるわけです。
上の画像は Google Books Ngram Viewer で両者の使用頻度を調べたものです。データベースは出版物なので①の方が多いですが、日常会話では②の方が多いという情報もあります。
ただし、「私は彼よりあなたを愛している。」という場合はどうなるのでしょうか。
まず、この日本語自体が2通りに解釈できます。
一つ目は上の画像のように、「私からあなたへの愛情>彼からあなたへの愛情」という意味です。英訳すると、
I love you more than he ( loves you ).
となり、I とhe が比較対象として同格になります。
二つ目は上の画像のように、「私から彼への愛情<私からあなたへの愛情」という意味です。英訳すると、
I love you more than ( I love ) him.
となり、you と him が比較対象として同格になります。
ここで、もしも一つ目の意味のときに、than him としてしまうと、二つ目の意味だと誤解されてしまいます。
そこで、当サイトが販売する教材では、thanは前置詞ではなく、あくまでも接続詞として理解し、「彼女は彼より背が高い。」というときは、
① She is taller than he.
② She is taller than him.
上記②ではなく①の形で統一的に説明しております。
【 as の後ろについて 】
同様の問題は、as ~ as の文でも生じます。たとえば、「彼女は彼と同じくらい背が高い。」というときは、
① She is as tall as he. ・・・ 後半のasは接続詞
② She is as tall as him. ・・・後半のasは前置詞
上記①②はいずれも正しい表現として広く認識されていますが、当サイトが販売する教材では、thanのときと同様の理由から、②ではなく①で統一的に説明しております。
【 まとめ 】
問題は、入試で出題されたときに、①②のいずれで書くべきかということです。当サイトでは、than も後半の as も接続詞として用い、いずれも②ではなく①で書くことをおすすめします。その理由は、以上に述べたことの他に、未だに「②は会話ではよく使用されても文法的には誤りだ」とする教師も存在するからです。なので入試では①で書く方が安全だと思います。
学校の定期試験のときはどうするかについては、学校の教科書や担当の先生の指示に従うのが一番安全だと思います。