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長文問題対策・英文解釈特訓~第1回

高校入試であれ大学入試であれ、英語の入試問題のメインはあくまでも長文読解です。当サイトでは、随時、更新ブログの中で少し難しめの文章を題材にして、英文解釈のための特訓を実施・紹介していきます。今回はその第1回目です。ぜひチャレンジしてみてください。

 

まずは、設問を必ず自力で解いてください。その後で解説や正解を読むようにしてください。さもないと実力が身につきませんのでご注意ください。 

【 設問 】

次の文章の下線部を和訳しなさい。ただし、二つ目の下線部については、this の内容を明らかにして和訳すること。

 

Japan is famous for its cherry blossoms, which attract a lot of tourists every year. How many types of cherry blossoms do you think there can be in Japan ? Surprisingly, there are over 600 different varieties. Each type has its own color and blooms at a different time. This makes the cherry blossom season always intersting and beautiful in Japan. 

【 第1文の解釈 】

Japan is famous for its cherry blossoms, which attract a lot of tourists every year.

 

be famous for ~ = ~で有名だ(be famous as ~との違いについては、2025年1月11日のブログを参照)。そうすると、カンマまでは、「日本は桜の花で有名だ。」となります。

 

その後の which は its cherry blossoms を先行詞とする主格の関係代名詞ですが、直前にカンマがあるので、非制限用法となります(非制限用法の詳細については、「有料実践編」のP338~340参照)。

 

attract~ = ~を魅了する

 

結局、設問の第1文は「日本は桜の花で有名で、それらは毎年多くの観光客を魅了する。」となります。 

【 第2文の解釈 】

How many types of cherry blossoms do you think there can be in Japan ?

 

もしも、There are over 600 types of cherry blossoms in Japan. だと、「日本には600種類以上の桜の花がある。」という意味になります。この文に、助動詞の can を入れると、

 

There can be over 600 types of cherry blossoms in Japan.となります。

 

助動詞の can には、「できる」「してもよい」の他に、「あり得る」などと訳す「可能性」の用法があり、この場合の can がそれにあたります。つまり、この文は「日本では600以上の種類の桜の花があり得る。」という意味です。この文を疑問文にすると、

 

Can there be over 600 types of cherry blossoms in Japan ? となります。

 

ここで、over 600 を how many にかえて、how から blossoms までをまとめて文頭へ出すと、

 

How many types of cherry blossoms can there be in Japan ? (日本には桜の花の種類がいくつあり得るか。)となります。

 

この文をさらに、間接疑問文にすると、たとえば、

 

Do you know how many types of cherry blossoms there can be in Japan ? (日本には桜の花の種類がいくつあり得るか知っていますか。)のように、後半の下線部が肯定文の順序に戻ります。

 

ところで、英語の世界では、「相手に一番尋ねたい部分が文頭へ飛び出す」というルールがあります。上の文の場合、「知っていますか」という部分が一番尋ねたいので、Do you know が文頭にあるわけです。ところが、たとえば「日本には桜の花の種類がいくつあり得ると思いますか。」という場合は、相手に一番尋ねたい部分は「思いますか」ではなく「種類がいくつ」という部分なので、

 

Do you think how many types of cherry blossoms there can be in Japan ?

 

とせずに、how many ~ blossoms を文頭へ出します。そうすると、

 

How many types of cherry blossoms do you think there can be in Japan ?

 

となって、設問の第2文と同じになります。

 

このように、最後に疑問詞を文頭へ出すタイプの間接疑問文(=疑問詞先行型間接疑問文)は、主節の動詞が、think, believe, suppose など「思う」と訳す動詞のときであることも知っておきましょう。なお、この疑問詞先行型の間接疑問文については、「有料実践編」のP380で詳しく解説しています。

 

結局、設問の第2文は「日本には桜の花の種類がいくつあり得ると思いますか。」となり、これが正解です。 

【 第3文の解釈 】

Surprisingly, there are over 600 different varieties.

 

Surprisingly = 驚くべきことに

 

over ~ = more than ~ = ~以上。 ただし、前者の直訳は「~を超えている」で後者の直訳は「~より多い」なので、厳密にはどちらもその数を含まないことに注意。つまり、over 3 は「3を超えている」で、more than 3 は「3より多い」だから、厳密にはどちらも「4以上」となります。ただ、和訳するときは、そこまで厳密になる必要はなく、どちらも「~以上」と訳してよい場合が多いです。

 

different は、後ろに複数名詞があるときは、「異なる」よりも「いろんな」「様々な」と訳すことが多いことも知っておきましょう。

 

variety = 多様性、種類

 

結局、設問の第3文は「驚くべきことに、600以上ものいろんな種類がある。」となります。

【 第4文の解釈 】

Each type has its own color and blooms at a different time.

 

主語の each type を受ける述語動詞は、has と bloom(咲く)の2つです。

 

所有格+own+名詞 = ~自身の名詞

 

結局、設問の第4文は、直訳すると、「それぞれの種類はそれ自身の色を持ち、異なる時期に咲く。」となり、きちんと訳すと、「それぞれの種類には独自の色があり、咲く時期も異なる。」となります。

【 第5文の解釈 】

This makes the cherry blossom season always interesting and beautiful in Japan.

 

この文の主語(S)= This

この文の動詞(V)= makes

この文の目的語(O)= the cherry blossom season

この文の補語(C)= always intersting and beautiful

 

つまり、この文は、make+O+C = 「OをC にする」の文だと気づきましょう。

 

直訳すると、「これは、日本で桜の花の季節をいつもおもしろく美しいものにする。」で、第5文をきちんと訳すと、「これによって、日本では桜の花の季節がいつも興味深く美しいものになる。」となります。

 

問題は、this の指す内容ですが、直前の「there are over 600 different varieties. Each type has its own color and blooms at a different time.」を指していると考えればよいでしょう。

 

結局、第5文をthisの内容を明らかにして訳すと、「600以上もの桜の花のそれぞれの種類には独自の色があり、咲く時期も異なることによって、日本では桜の花の季節がいつも興味深く美しいものになる。」となり、これが正解です。

【 設問本文の全訳 】

日本は桜の花で有名で、それらは毎年多くの観光客を魅了する。日本には桜の花の種類がいくつあり得ると思いますか。驚くべきことに、600以上ものいろんな種類がある。それぞれの種類には独自の色があり、咲く時期も異なる。これによって、日本では桜の花の季節がいつも興味深く美しいものになる。