※まずは、辞書や参考書などを一切使わずに自力で設問を解いてください。次に辞書や参考書などを総動員して自分なりの完全解を作ってください。その後で当サイトによる解説や正解を読んで答え合わせをてください。また、自分の解答は必ずノート等に実際に書くようにしてください。
【 設問 】
次の文章を和訳しなさい。
In recent years, organic farming has been popular. Traditional methods are no longer favored by many farmers, as they see the benefits of organic products. While it requires a significant amount of effort and dedication, the results are often worth it. Little concern is given to the impact of pesticides on health in conventioal farming, which makes organic practices even more appealing.
※organic = 有機の、農薬や化学肥料を極力使わない
※significant = 重要な、大きい
※dedication = 専念、献身
※concern = 関心、懸念、考慮
※pesticides = 農薬
※conventional = 従来の、これまでの
【 第1文の解釈 】
In recent years, organic farming has been popular.
recent = 最近の in recent years = 近年
has been popular は現在完了形の「継続」の用法
きちんと訳すと、「近年、有機農業が人気を博している。」となります。
【 第2文の解釈 】
Traditional methods are no longer favored by many farmers, as they see the benefits of organic products.
method(s) = 手段、方法
no longer ~ = もう~ない
favor は、この場合動詞で「好む」。 are favored で受動態になっています。
as については、いろんな用法 がありますが、この場合は、その後ろに理由が書かれています。
they は、many farmers を指しています。
see = understand の意味。
benefit(s) = 恩恵、利点
product(s) = 製品。ただ、本文は農業の話なので訳し方に少し工夫が必要。
きちんと訳すと、「これまでのやり方は、多くの農家にもう支持されていない。というのは、農家の人たちは、有機栽培による農産物の良い点をわかっているからだ。」となります。
【 第3文の解釈 】
While it requires a significant amount of effort and dedication, the results are often worth it.
while は接続詞で、「~の間」という意味の他に、「~だが」(≒ though)の意味もあり、この文の while がそうです。直後の it は、第1文の organic farming を指しています。
require = 要求する、必要とする
amount = 量
effort = 努力
results = 結果
be worth A = Aの価値がある。本文では Aの部分に it が置かれていますが、この it は a significant amount of effort and dedication (多大な努力と専念) を指しています。
きちんと訳すと、「有機農業には多大な努力と専念が必要だが、結果にはそれだけの価値を伴うことが多い。」となります。
【 第4文の解釈 】
Little concern is given to the impact of pesticides on health in conventioal farming, which makes organic practices even more appealing.
文頭の little の使い方については、入試頻出の文法事項です。
There are a few cars in the parking lot. (駐車場には少し車がある。)
There are few cars in the parking lot. (駐車場にはほとんど車がない。)
I have a little money with me. (手持ちのお金が少しある。)
I have little money with me. (手持ちのお金がほとんどない。)
ただし本文では、little ~ が主語になっているので、直訳すると、「ほとんどない考慮が~に与えられる」となってしまうので、訳し方にかなり工夫が必要です。
impact は、この場合「影響」。
which は主格の関係代名詞で、その直前にカンマがあるので、非制限用法ですが、先行詞は、カンマの前の Little concern is given to the impact of pesticides on health in conventioal farming という部分全体を指しています。
makes 以降については、make + O + C = 「O を C にする」の形で、つまり、
organic practices = O
even more appealing = C
ということです。
practice = 実践
even more = さらにいっそう (重要英熟語集の第5集)
appealing = 魅力的な
第4文を直訳すると、「これまでの農業では、ほとんどない考慮が健康に対する農薬の影響に与えられ、そのことが有機農業の実践をよりいっそう魅力的なものにする。」となりますが、これでは読んでさっぱりわからない日本語になってしまいますね。これを意味が通じるようにきちんと訳すと、「これまでの農業では、農薬による健康への影響が考慮されることはほとんどなく、そのために、有機農業を実践することがよりいっそう魅力的なものになっている。」となります。
【 設問文の全訳 = 正解 】
近年、有機農業が人気を博している。これまでのやり方は、多くの農家にもう支持されていない。というのは、農家の人たちは、有機栽培による農産物の良い点をわかっているからだ。有機農業には多大な努力と専念が必要だが、結果にはそれだけの価値を伴うことが多い。これまでの農業では、農薬による健康への影響が考慮されることはほとんどなく、そのために、有機農業を実践することがよりいっそう魅力的なものになっている。
【 ワンポイントアドバイス 】
今回の文章では、第2文の traditional と第4文の conventional がほぼ同義として使用されていることに気づきましょう。これは同じ単語を何度も繰り返すと幼稚な文章になりかねないので、それを避けるために意図的に別の言葉で言い換えているもので、こういったことは英語でも日本語でもよくある文章テクニックです。
しかし、和訳するときはそれを逆手にとって、あえて同じ言葉で訳出してやると採点する側によい印象を与えます。つまり、「第4文の conventional は第2文のtraditional を言い換えただけでしょ。そんことはちゃんとわかってますよ。」というアピールを答案上でできることになり、採点する側は「この受験生はかなりの読解力を持っている優秀な子だな。」という印象を持つことになります。
賢い受験生の和訳テクニックとして、ぜひ覚えておきましょう。