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長文問題対策・英文解釈特訓~第8回

※まずは、辞書や参考書などを一切使わずに自力で設問を解いてください。次に辞書や参考書などを総動員して自分なりの完全解を作ってください。その後で当サイトによる解説や正解を読んで答え合わせをしてください。また、自分の解答は必ずノート等に実際に書くようにしてください。

【 設問 】

次の文章を和訳しなさい。

 

The weather in spring may not always be warm and sunny. It can sometimes surprise us with sudden rain or chilly winds. For example, people planning outdoor activities should be prepared for such unpredictable changes. Having appropriate clothing and gear can help keep you safe and make these experiences more enjoyable.

 

unpredictable = 予測できない

※appropriate = 適切な

※gear = 装備

春の天気のイメージ画像

【 第1文の解釈 】

The weather in spring may not always be warm and sunny.

主語は The weather in spring = 春の天気

 

may は「してもよい」の他に「かもしれない」の意味があり、本文がその意味。ただし、「かもしれない」と訳してうまくいかないときは、「~だろう」と訳すとたいていはうまくいくことを覚えておきましょう。

 

not always は 部分否定 で、「いつも~というわけではない」「いつも~とは限らない」などと訳します。

 

きちんと訳すと、「春の天気は、いつも暖かく晴れているとは限らないだろう。」となります。

【 第2文の解釈 】

It can sometimes surprise us with sudden rain or chilly winds.

出だしの It は、第1文の The weather in spring を指しています。

 

can は「できる」ではなく「~であり得る」(可能性)の用法。

 

surprise は、この場合、動詞で「驚かせる」。

 

with は、この場合、「手段」や「道具」を表す。He wrote his name with a pen. (彼はペンで自分の名前を書いた。)

 

直訳は、「春の天気はときどき突然の雨や冷たい風で私たちを驚かせ得る。」となり、無生物主語 に注意して、きちんと訳すと、「時には、突然の雨や冷たい風で、春の天気には驚かされることもあり得る。」となります。

 

上記のように、it をわざわざ「春の天気」と具体的に訳しているのは、「私はこの文の it が何を指しているのか、ちゃんと理解してますよ。」という採点者に対するアピールのためです。こんなちょっとしたテクニックもぜひ知っておくとよいと思います。

【 第3文の解釈 】

For example, people planning outdoor activities should be prepared for such unpredictable changes.

for example = たとえば

 

この文の主語は、people planning outdoor activities で、planning は現在分詞の形容詞的用法で peopleを後ろから修飾しています(分詞の形容詞的用法については「有料実践編」の第21講参照)。「野外活動を計画している人々」となります。

 

be prepared for ~ = ~に備える

 

きちんと訳すと、「たとえば野外活動を計画している人は、そんな予想外の天気の変化に備えておくべきだ。」となります。

 

ところで、outdoor activities を「野外活動」と訳すべきか「アウトドア活動」と訳すべきか迷った人がいるかもしれません。なぜならば、「アウトドア」は元々英語の外来語なのだから、そのまま和訳の中に入れてしまうと、「訳」したことにならないのでは ? という問題意識ですね。

 

こういうときは、外来語をそのまま用いた場合と、それを純粋な日本語に置き換えた場合とで、どちらが自然な表現になるかと考えればよいのです。たとえば、elevator を「昇降機」などと訳したら不自然ですよね。だったら「エレベーター」と訳せばよいのです。逆に、第1文の The weather in spring を「春のウェザー」と訳したら不自然だし、採点者に「この受験生はひょっとしたら weather の意味を知らないのかな」と思われてしまいかねません。

 

この点、outdoor activities については、「野外活動」と訳しても「アウトドア活動」と訳してもいずれも不自然ではないので、結論的にはどちらの訳し方でもよいことになります。ただ、こういうときは外来語ではなく純粋な日本語の方を用いた方がより安全だと思います。その方が「訳」という設問の要求をより満たすからです。

 

細かい話ですが、迷ったときの判断基準としてぜひ役立ててください。

【 第4文の解釈 】

Having appropriate clothing and gear can help keep you safe and make these experiences more enjoyable.

この文の主語は、Having appropriate clothing and gear で、Having は動名詞で「持つこと」。

 

help の目的語は、 ( to ) keep と ( to ) make で、両者が対等な関係で and で結ばれています。つまり、「keep しながらmake することに役立ち得る」となります。to は名詞的用法の不定詞で、help の後では本文のようによく省略されることもぜひ知っておこう。

 

keep = V

you = O

safe = C

 

※keep + O + C = O を Cのままにしておく(いわゆる第5文型)

 

make = V

these experiences = O

more enjoyable = C

 

※make + O + C = O を C にする(いわゆる第5文型)

 

直訳すると、「適切な服装や装備を持つことは、あなたたちを安全なままにしながら、これらの経験をより楽しめるものにすることに役立ち得る」となります。

 

問題は、more と比較級になっている点と、these experiences が具体的に何を指しているかをきちんと理解する必要があります。この these experiences は第3文の such unpredictable changes (=そんな予想外の天気の変化) を指しており、さらに具体的には、第2文の sudden rain or chilly winds (突然の雨や冷たい風)を指しています。「そんなものを楽しめるわけがないだろう」と思うかも知れませんが、実は、ここがこの文章の奥深いところで、「野外活動では、多少のハプニングがあるのが普通で、それ自体楽しい思い出になったりするものだが、きちんと装備をしていれば、そんな突然のハプニングがさらにいっそう楽しいものになる。」という発想です。つまり、自分が用意周到に装備として持ってきた携帯用ポンチョやカイロなどが実際に山の中で役に立てば、野外活動ならではの、ある種の達成感のようなものを味わうことができるということです。そのへんをきちんと理解しないと正確な和訳はできません。あとは、無生物主語 を意識してきちんと訳すと、「適切な服装や装備を持っていれば、安全を確保しながら、予想外の天気の変化があってもよりいっそうそれを楽しむことができるものだ。」となります。

 

these experiences を「予想外の天気の変化」と訳しているのは、第2文の解釈のときと同様に、具体的に何を指しているのかをきちんと理解していることを、採点者にアピールするためです。

【 設問文の全訳= 正解 】

春の天気は、いつも暖かく晴れているとは限らないだろう。時には、突然の雨や冷たい風で、春の天気には驚かされることもあり得る。たとえば野外活動を計画している人は、そんな予想外の天気の変化に備えておくべきだ。適切な服装や装備を持っていれば、安全を確保しながら、予想外の天気の変化があってもよりいっそうそれを楽しむことができるものだ。