今回のブログでは、予備校の授業で実際に私がよく生徒たちにするアドバイスを、そのまま公開しています。
日本人の中で最も忙しい人は、中学生の皆さんで、総理大臣よりも忙しいと私は思っています。朝早くから部活動でしぼられ、日中は何コマも授業があり、夕方には再び部活。急いで自宅へ帰ってかきこむように夕食をとって、それから塾へ向かいます。塾の授業中に眠くならない方が不思議というものです。
もちろん、「友だちと遊びたい」とか「テレビを見たい」とか「ゲームをしたい」など、日々の生活の中では、他にも勉強の妨げになる様々な誘惑があります。しかし、「眠気」だけは他の誘惑と異なり、肉体的な生理現象であり、食欲と並んで人間が最も克服しがたい誘惑であり、まさに受験勉強の大敵です。なので、「気合」や「根性」などではなく、あくまでも科学的にこの「眠気」とどう向き合うかが重要で、それなくして第一志望校合格は果たせないでしょう。
これから、最初に「眠気を覚ます効果的な方法」を紹介し、次に「これをやったら逆に眠くなるからダメだよ」という具体例を紹介します。
【 コーヒー・紅茶・緑茶 ・・・〇 】

これらにはカフェインという成分が入っているため、眠気覚ましには効果的です。特に緑茶はカフェインとテアニンの相乗効果で集中力が高まり、また、カフェインの吸収速度がコーヒーなどに比べて遅いため、持続的な覚醒感を得られ、勉強には最適です。ただし、大量に飲み過ぎると胆石や腎臓結石の原因になるリスクがあるので、1日コップ3~4杯にしましょう。小さめの水筒に入れて、塾へ持ってくるとよいでしょう。
【 あくび・・・〇 】

あくびには、脳に対する冷却効果や酸素供給作用、さらには、覚醒刺激の伝達があるとされており、結果的に眠気を覚ましてくれるそうです。
学校の先生の中には、授業中にあくびをすると怒る先生もいるようですが、私の授業中においては、あくびは大歓迎です。ただし、「あ~あ~」と大声を出してあくびをするのはやめてくださいね。熱心に教えている先生が気分を害するから。(笑)
【 チューインガム・・・〇 】

ガムを奥歯で噛むと、脳に覚醒刺激が伝達され眠気が消えるだけでなく、集中力も高まると言われています。長距離ドライバーやプロ野球の選手たちも必需品にしている人が多いのはそのためです。ちなみに、ガムで有名な「ロッテ」という会社の役員会では、会議中にガムを噛むことが全員に義務づけられているそうです。お勧めは、そのロッテの「BLACK BLACK(顆粒)」。2つくらいまとめて口に入れて噛んでみてください。鼻水とともに一撃で目が覚めます。
かつて私は、予備校の自分の生徒たちに授業中に毎回ガムを噛ませたことがあります。その結果、授業中に眠っている子はひとりもおらず、全員が授業に集中でき、そのクラスは抜群の合格実績を誇りました。しかし、どの予備校でも塾でも授業中の飲食は厳禁なので、予備校には内緒でそれをやっていたのですが、どういうわけかバレてしまい、経営者から呼び出しを食らってクビになりそうになりました。(笑)
今ではもちろん、「授業中にガムを噛め」などとは言いません。あくまでも自宅で勉強するときにガムを大いに活用してください。
【 仮眠・・・〇 】

恐らくこれが一番効果的だろうと思います。
1時間も2時間も眠る必要はありません。ほんの5分~10分の間うとうとするだけでも十分です。その後頭がスッキリして、数時間は授業や勉強に集中できます。
ただし、自分の部屋で仮眠するのはやめた方がよいでしょう。目が覚めたら翌朝になっているかもしれないからです。自宅なら居間のソファーとか、送迎中の車の中のように、親の目の届くところがベストです。また、少し早めに塾へ来て、友だちと騒ぐ元気があるならその間に机に伏せてうとうとするのもよいでしょう。それだけで抜群の効果があります。
賢い受験生なら塾の授業前に必ず仮眠をします。これ、知らないと大損をする知識です。
【 満腹・・・✕ 】
ここからは逆に、禁止事項、つまりやると逆に眠くなることを紹介します。

そうです。大食いして満腹になることです。人間に限らず動物は満腹になると必ず眠くなります。なので、塾へ通う日は、夕食はやや少なめにとるようにしましょう。
ちなみに、私も授業前には夕食をとるのですが、たいていはコンビニのおにぎり1個またはサンドウィッチ一人分しか食べないようにしています。それくらいの分量なら眠くならないし、体力的にも十分持ちます。
もしも物足りなければ、帰宅してからまた食べればよいです。
【 牛乳やチーズなどの乳製品・・・✕ 】

牛乳やチーズなどの乳製品にはカルシウムが豊富に含まれており、カルシウムは眠気を催します。医者が出す睡眠薬にもカルシウムが多く含まれています。
もちろん、カルシウムは骨を作るなど体の成長に不可欠な栄養素なので摂取する必要がありますが、塾の授業前に摂取するのは避けた方がよいでしょう。どうせなら寝る前に摂取してください。よく眠れます。
【 チョコレート・・・✕ 】

チョコレートには、コーヒーやお茶と同様、少量のカフェインが含まれているので、理屈から言えば食べると目が覚めるはずで、実際に、以前はそのように言われていました。しかし、最近の研究では、チョコレートにはトリプトファンと呼ばれる成分が入っていて、これが人間の眠気を催すことがわかっています。
牛乳やチーズなどの乳製品と同様、食べるなら寝る前がよいでしょう。ちなみに、私は毎日寝る前にウィスキーのつまみにチーズとチョコレートを少し食べるようにしています。美味しくて幸せな気分になって爆睡できます。
【 入浴・・・? 】

不思議なことにこれだけは、意見が分かれるんです。風呂から出た後に「目が覚める」という人と「眠くなる」という人がいるのです。アンケートをとると、だいたい半々になります。人によって違うのかなというと、実はそうではなく、これにはからくりがあるんです。
風呂から出て約1時間ほどは体温が上昇したままで目が覚めます。その後、体温が下がるにつれて急激に眠気が発生します。これがからくりなのです。
ということは、受験生のみなさんは一日の中でいつ風呂に入ったらよいか、もうわかりますよね。寝る1時間前に入浴するのがベストだということになります。つまり、夜勉強していてひどく眠くなったらそこで風呂に入れば、出てからもう1時間勉強できます。その後、ぐっすり眠れるというわけです。まちがっても塾へ来る前にお風呂に入ってはいけません。
【 まとめ 】
冒頭で述べたように、眠気との闘いは、「気合」や「根性」だけでは勝てません。科学的かつ合理的に対処することが必要なのです。
なので、塾がある日に次のようなことをしてはいけません。
部活でさんざんしぼられてから帰宅し、でかいチーズバーガーを3つ食べて、食後のデザートとしてチョコレートを楽しみ、その後、熱いお風呂で汗を流したら、出た後に腰に手をあてて元気よく牛乳を飲み干す…。
これでは眠くならない方が不思議というものです。
今回のブログを参考にして、いろいろと自分なりに工夫をしてみてください。学習効果がかなり変わると思います。