※まずは、辞書や参考書などを一切使わずに自力で設問を解いてください。次に辞書や参考書などを総動員して自分なりの完全解を作ってください。その後で当サイトによる解説や正解を読んで答え合わせをしてください。また、自分の解答は必ずノート等に実際に書くようにしてください。
【 設問 】
次の文章を和訳しなさい。
John had always stood out among his classmates, not just because of his intelligence, but also his remarkable height. He was over 5 centimeters taller than any other boy in his class, which often made him feel different and somewhat isolated. However, instead of letting this uniqueness discourage him, he decided to use it as a strength, joining the school's basketball team. Over time, he became a key player, earning respect from both his teammates and his opponents. Through hard work and perseverance, John learned that being different could be the foundation of success.
※isolated = 孤立化された
※over time = 時が経つにつれて
※earn = 得る、手に入れる
※opponent = 対戦相手
※perseverance = 忍耐
※foundation = 基盤、基礎

【 第1文の解釈 】
John had always stood out among his classmates, not just because of his intelligence, but also his remarkable height.
had stood は過去完了形の「継続」の用法で、「ずっと~していた」の意。
カンマの後は、not only A but ( also ) B = AだけでなくBも(また)という重要熟語で、本文では onlyの代わりに just が使われています。つまり、「目立っていた理由が his intelligence だけでなく his remarkable height もその理由であった」ということ。
きちんと訳すと、「ジョンは、クラスメイトの中でいつも目立っていたが、それは、彼が知的であっただけでなく、目立つほどの長身でもあったからだ。」となります。
【 第2文の解釈 】
He was over 5 centimeters taller than any other boy in his class, which often made him feel different and somewhat isolated.
than any other boy = 他のどの少年よりも
第2文は文意を把握するのにそれほど難しくありませんが、カンマより前の部分をうまく日本語に直すのに非常に苦労した人が多いと思います。
まず、前提として、He is three years older than I. (彼は私より3歳年上だ。)のように比較級の直前に具体的な差を入れることがよくあります。設問文の場合、taller という比較級の直前に over 5 centimeters という具体的な差が示されているわけです。
ところが、第1回 でも紹介したように、over ~ = more than~
で、前者の直訳は「~を超えている」で後者の直訳は「~より多い」なので、厳密にはどちらもその数(この場合「5」)を含まないことに注意が必要です。なので直訳すると、「彼はクラスの他のどの少年よりも5センチを超えた分背が高かった。」「彼はクラスの他のどの少年よりも5センチより背が高かった。」などというぎこちない和訳になってしまいます。
こういうときは、「その数を含まない」ということにあまり厳密にこだわらずに、「彼はクラスの他のどの少年よりも5センチ以上背が高かった。」と訳しても入試では正解になると思います。ただ、どうしても正確な和訳にこだわるとすれば、結局、「彼はクラスの他のどの少年よりも背が高く、その差はいずれも5センチを超えていた。」とすればよいでしょう。
カンマの後ろの which は、カンマの前の"He was over 5 centimeters taller than any other boy in his class"という部分を先行詞とする主格の関係代名詞で、非制限用法です(関係代名詞の非制限用法については「高校入試英語教材・有料実践編」のP338~参照)。
made him feel の make は使役動詞で 「him に feel させる」が直訳。つまり、「そのことはしばしば彼に、自分が異なっており、やや孤立化されていると感じさせた。」が直訳になります。これをきちんと訳すと、「そのために彼は、自分が他の子と違っていて、やや孤立していると感じることも多かった。」となります。
結局第2文全体をきちんと訳すと、「彼はクラスの他のどの少年よりも背が高く、その差はいずれも5センチを超えており、そのために彼は、自分が他の子と違っていて、やや孤立していると感じることも多かった。」となります。
【 第3文の解釈 】
However, instead of letting this uniqueness discourage him, he decided to use it as a strength, joining the school's basketball team.
however = しかしながら
instead of ~ ing = ~する代わりに、~しないで
let は使役動詞で、「this uniqueness に discourage させる(許可)」が直訳。
discourage = 落胆させる、失望させる
it は、この文の this uniqueness を指しています。
strength は strong (強い)の名詞形。
joining 以降は分詞構文で、書きかえると、and he joined the … となります。
全体を直訳すると、「この個性に彼を失望させる代わりに、彼はこの個性を強さとして使おうと決意し、学校のバスケットボールチームに参加した。」となり、これをきちんと訳すと、「しかしながら、彼は自分の個性に失望することなく、その個性を強みとして利用しようと決意し、学校のバスケットボールチームに参加した。」となります。
it をわざわざ具体的に「その個性」と訳しているのは、採点者に対して理解をアピールするためです。
【 第4文の解釈 】
Over time, he became a key player, earning respect from both his teammates and his opponents.
earning 以降も分詞構文で、and he earned respect …と理解すればよいです。
both A and B = AもBも両方
きちんと訳すと、「時が経つにつれて、彼はチームの中心選手となり、チームメイトからも対戦相手からも尊敬を集めた。」となります。
【 第5文の解釈 】
Through hard work and perseverance, John learned that being different could be the foundation of success.
hard work を「熱心な仕事」と訳したらさすがにおかしいので、ここは工夫が必要です。
being は be動詞の動名詞形で「であること」
could は can の過去形で「あり得る」(可能性)の用法。主節の動詞が learned と過去形になっていることから時制の一致により could と過去形になっています。
きちんと訳すと、「努力と粘り強さを通して、ジョンは、他の人と違うということが成功の元になり得ると学んだ。」となります。
【 設問文の全訳 = 正解 】
ジョンは、クラスメイトの中でいつも目立っていたが、それは、彼が知的であっただけでなく、目立つほどの長身でもあったからだ。彼はクラスの他のどの少年よりも背が高く、その差はいずれも5センチを超えており、そのために彼は、自分が他の子と違っていて、やや孤立していると感じることも多かった。しかしながら、彼は自分の個性に失望することなく、その個性を強みとして利用しようと決意し、学校のバスケットボールチームに参加した。時が経つにつれて、彼はチームの中心選手となり、チームメイトからも対戦相手からも尊敬を集めた。努力と粘り強さを通して、ジョンは、他の人と違うということが成功の元になり得ると学んだ。