実際に予備校で私が生徒たちによく解かせる問題を紹介します。ハイレベルクラスでも正答率は10パーセントを切る難問です。ぜひチャレンジしてみてください。
【 設問 】
次の文を受動態にしなさい。
Who must take care of this dog ?

【 前提知識その1・・・助動詞の入った受動態 】
The door is closed at 10. (そのドアは10時に閉められる。)
この文を未来形にすると、door と is の間に助動詞の willが入り、助動詞の後は動詞が原形になるので、is が原形の be に変わります。つまり、
The door will be closed at 10. (そのドアは10時に閉められるだろう。)
<助動詞の入った受動態の重要公式>
助+be+過去分詞
と並べること
【 前提知識その2・・・群動詞の受動態 】
The teacher laughed at Jack. (その教師はジャックを笑った。)
※laugh at ~ = ~を(バカにして)笑う
上記の文を受動態にすると、
Jack was alughed by the teacher. …×
Jack was laughed at by the teacher. …○
laugh at は群動詞(=動詞を使った決まり文句)なので、受動態にするときは、接着剤でくっつけたままにするのがポイントです。その結果、at by と前置詞が2つ並んで違和感があるかもしれませんが、これで正しい英文なのです。
このパターンでよく入試に出題される群動詞は、以下の通りです。
laugh at ~ = ~を(バカにして)笑う
speak to ~ = ~に話しかける
run over ~ = ~を(車などで)ひく
cut down ~ = ~を切り倒す
take care of ~ = look after ~ = ~の世話をする、~の面倒を見る
【 前提知識その3・・・「誰によって~された?」】
Tom killed the bear. (トムがその熊を殺した。)
上記の文を受動態にすると、
The bear was killed by Tom. (その熊はトムによって殺された。)
上記の文を疑問文にすると、
Was the bear killed by Tom ?
①ここで、上記の文の Tom を who に変えて文頭へ出すと、
Who was the bear killed by ?
②また、by Tom を by whom に変えて文頭へ出すと、
By whom was the bear killed ?
上記①②いずれも、「その熊は誰によって殺されましたか。」という意味になります。
<「誰によって~された?」ときたら>
Who + 受動態の疑問文 + by ?
By whom + 受動態の疑問文 ?
【 さてここから設問の解説です。 】
Who must take care of this dog ? (誰がこの犬の世話をしなければいけませんか。)
上記の文を受動態にすると、「この犬は誰によって世話をされなければいけませんか。」となるので、
①Who + 受動態の疑問文 + by ?
②By whom + 受動態の疑問文?
のいずれかの形になることにまず気づいてください(上述の前提知識その3参照)。
ただし、受動態の疑問文とあっさり言われても、慣れないうちは一気に書けないですよね。そういうときはまず肯定文から作りましょう。つまり、犬を主語にして「この犬は世話をされなければいけない。」という肯定文を作るのです。
ここで上述の前提知識その1を思い出してください。must という助動詞が必要だから、助+be+過去分詞と並べるんでしたよね。すると、
this dog must be taken … となります。
ここで上述の前提知識その2を思い出してください。take care of は群動詞なので接着剤でくっつけたままにしなければいけません。すると、
this dog must be taken care of となります。
あとは、これを疑問文にすればよいだけです。つまり、主語の this dog と 助動詞の must を入れかえるだけです。すると、
must this dog be taken care of となり、これを先ほどの受動態の疑問文のところへそのまま入れれば完成です。
結局正解は、
①Who must this dog be taken care of by ?
②By whom must this dog be taken care of ?
となります。 いかがでしたか?