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長文問題対策・英文解釈特訓~第11回

※まずは、辞書や参考書などを一切使わずに自力で設問を解いてください。次に辞書や参考書などを総動員して自分なりの完全解を作ってください。その後で当サイトによる解説や正解を読んで答え合わせをしてください。また、自分の解答は必ずノート等に実際に書くようにしてください。

【 設問 】

次の文章を和訳しなさい。

 

In old Japan, the tea ceremony was an important way to show respect for others and build connections with them. People believed that every meeting, even over a cup of tea, was unique and should be valued. There is no one else who can share the exact same feelings and experience in that moment. This idea teaches us to appreciate the small, meaningful moments in life. Through tea, people found harmony and created bonds with each other.

 

※value = 大切にする

※bond = きずな、つながり

茶道のイメージ画像

【 第1文の解釈 】

In old Japan, the tea ceremony was an important way to show respect for others and build connections with them.

tea ceremony = 茶道

way = 手段、方法

respect = 尊敬、敬意

build connections with ~ = ~とのつながりを築く

 

an important way to ~ の to は不定詞の形容詞的用法で、「~するための[べき]重要な方法」となります。

 

最後の them は、この文の others(他人)を指しています。

 

きちんと訳すと、「昔の日本では、茶道は他者に敬意を示し、他者とのつながりを築く重要な方法だった。」となります。

【 第2文の解釈 】

People believed that every meeting, even over a cup of tea, was unique and should be valued.

People believed that ~ = 「人々は~だと信じていた」が直訳だが、この people は、文脈から判断して、当時の日本人全体を指しているのではなく、あくまでも茶道にかかわっていた人たちに限定されると解釈すべきです。

 

meeting を「会議」、unique を「独特」などと訳したら意味不明な和訳になってしまいます。文章の趣旨をきちんと把握して、それぞれふさわしい訳出が必要です。

 

even は入試頻出単語。even ~ = ~さえ

 

It's cool here even in August. (ここでは8月でさえ涼しい。)

 

over は、後ろにお茶やコーヒーなどを置いて、「~を飲みながら」「~を囲んで」という意味でよく使用される表現です。

 

should be valued は助動詞の入った受動態の形で「大切にされるべきだ」が直訳。

 

きちんと訳すと、「たとえ一杯のお茶を囲むときでさえ、出会いというものは一度限りのもので大切にすべきだと考えられていた。」となります。

【 第3文の解釈 】

There is no one else who can share the exact same feelings and experience in that moment.

no one = 「ゼロ人の人」が直訳。

 

There was no one in the room. (その部屋にはゼロ人の人がいた。→ その部屋にはだれもいなかった。)

 

else も入試頻出単語。~ else = 他[に]~

 

Please ask someone else. (他のだれに聞いてください。)

What else did you see ? (他に何が見えましたか。)

 

ただし、この文の場合、「他」とは何に対して「他」と言っているのかをきちんと理解する必要があります。この文の場合は、「茶会で対面している相手の人の他」という意味に解釈されるので、そのへんも訳の中に少し入れた方がよいでしょう。

 

who は no one else を先行詞とする主格の関係代名詞。

 

share = 「共有する」

 

the exact same ~ = 「まったく同じ~」という慣用句。

 

結局きちんと訳すと、「その瞬間にまったく同じ気持ちや経験を共有できる者は、相手の他にはだれもいないのである。」となります。

【 第4文の解釈 】

This idea teaches us to appreciate the small, meaningful moments in life. 

to は名詞的用法の不定詞で「~すること」。

 

appreciate は入試頻出の重要単語ですが、「評価する」「理解する」「認識する」「感謝する」「味わう」「鑑賞する」などいろんな訳し方があるので、受験生にとってはつかみどころがなく、最もやっかいな単語の一つです。この単語の本質的な意味は「良いものが良いとちゃんとわかる」ということです。たとえば、

 

I think this movie is meaningful, but you can't appreciate it, can you ? (この映画は意味が深いと思うが、君にはわらんだろうね。)

 

みたいな感じで使用します。

 

第4文をきちんと訳すと、「この考えは、人生において些細でも意義深い瞬間を大切にすべきことを教えてくれる。」となります。

【 第5文の解釈 】

Through tea, people found harmony and created bonds with each other.

この文の people も茶道にかかわる人たちに限定されていると解釈すべきです。

 

きちんと訳すと、「お茶を通じて、彼らはお互いに調和をみつけ、つながりを築いたのである。」となります。

 

なお、この文の created bonds with each other は、第1文の build connections with them の言い換えだと気づけば、あえて同じ訳出にすることで採点者にその理解をアピールできます(第7回参照)。

【 設問文の全訳 = 正解 】

昔の日本では、茶道は他者に敬意を示し、他者とのつながりを築く重要な方法だった。たとえ一杯のお茶を囲むときでさえ、出会いというものは一度限りのもので大切にすべきだと考えられていた。その瞬間にまったく同じ気持ちや経験を共有できる者は、相手の他にはだれもいないのである。この考えは、人生において些細でも意義深い瞬間を大切にすべきことを教えてくれる。お茶を通じて、彼らはお互いに調和をみつけ、つながりを築いたのである。